NPブログ「Leitmotiv 」言葉・論理・主題連鎖への旅

文章において「    」は、どんな時に用いるのでしょう。会話以外の場合を考えてみて下さい。
たとえば先日、センター解析の中で「井伏鱒二」としました。他にも「抽象」「虫素材」など。

1重要なキーワード
2注目すべき強調の言葉  ですね、ひとまず。次の四つのケースも意識して捉えましょう。

3抽象度の高い言葉 
4何かと何かを繫ぐ連鎖の言葉  
5普通とは異なる筆者独自の意味を持つ言葉  
6皮肉(アイロニー・イロニーとも言います。)  1~6は重複(ちょうふく)して用いられます、注意。

そして、切り返しますよ・・・小説においては、会話文に、上の1~6の意味を被(かぶ)せて読んでみるのです。小説問題こそ「論理的」に解かれねばならないと考えます。(合わせて、評論問題を「情緒的」に解くと、とっても面白いですよ、逆説的ですが・・・。こうなると、「情緒=論理」さえも成り立ってくるのです。)

さて、センター試験の解析続報ですが、評論の問4で「生物としての人間の、最大の悲劇」が、問われました。この位置は抽象系の問題だと、すでに端的に指摘しましたが、後方に、「    」の付いた「自他関係」という言葉があるんですね。直前には、~「自己意識」が「集団行動」と真っ向から対立する~という対比があります、これが正解に直結しますね。まさに「関係性」が問われているのです。そう、「関係性の悲劇」なのです。

抽象系の問題とは、具体を経て、象徴的な例や主題へと導く、これ自体が「関係性」という「属性(ぞくせい)」を持つことが明らかです。

しめくくりは、センター小説・問3「お互い」の「深い吐息」と、「相手をとがめるような瞳」 の意味。
「会話」の応酬を、前述の1~6で意識して味わいましょう。そして、設問の選択肢には、「    」は付けられていませんね。でも、解答者自身のイメージの中で「    」を付けるのです。
何に? ・・・前述の1~6の要素を持つ言葉にです。そうすれば、正解選択肢の中の「無慈悲」と「邪魔」が、きれいに浮かび上がって見えるはずです。これもまた人間相互の「関係性」であることは言うまでもありませんね、この設問も抽象系の位置にあるのです。

次回は、「井伏鱒二の『山椒魚』」について、NP解説を読んで下さいね。

大寒(だいかん)ですね。1月6日・小寒(しょうかん)と2月4日・立春のちょうど中間にあたり、いちばん寒い頃なのでしょう。が、地球温暖化は別にしても、実は小寒の方が寒いという説もあり、「小寒の雪が大寒に溶ける」という格言があるようです。これは、~ものごとの巡りは順序通りには進まないものだ~とも解釈できます。

しかし小寒→大寒→立春には、ひとつの連鎖があります。たぶん、大寒には「春の兆し」があるから、先の言葉も生まれたのでしょう。小寒は冬至を受け、立春は雨水(うすい)さらに啓蟄(けいちつ)へと繋(つな)がります。

素材「環境・生命維持」「個体」→具体例(たとえば)→先行抽象「複雑な構造」「自己意識」→抽象『生物としての最大の悲劇』→象徴例「自我境界」→主題【生命の気配】

これが、先日のセンター試験出題の評論、木村敏さん(医学者・精神科医。臨床哲学も入っているようです、臨床哲学は大阪大学の鷲田清一さんが有名ですから、いずれ問題実例でふれる予定です。)の出題文章についての連鎖です。最低限、残すべき言葉は、これだけです。そして、素材は問2Aで、先行抽象は問3Bで、抽象は問4Cで、象徴は問5Dで問われました。パターン通りなのです。主題は、問6の「論の展開」で、選択肢の部分品になってしまいました。しかも、「生命の営み」というアバウトな言葉の方が重視されています、なんだかなあ・・・です。遡(さかのぼ)って問1は漢字力・語彙力ですから、実践問題で読解力を鍛えながら、必ず意識して身につけましょう。

センターのみならず、国語問題の典型は以上です。こちらは順序通りに進みます。
雪が溶けるように、問題が解けたらいいね。

15日(日)の「小正月(こしょうがつ)」で、「松の内」も完全に明けてしまいました。
もう、俳句では「新年の季語」が使えない時季になります。
その日の朝刊各紙にセンター試験の国語問題と解答が載っていましたね。

 

今日は、その中の大問1・評論と大問2・小説問題から、ひとつ・ふたつお話をします。
まず、2の「井伏鱒二」の『たま虫を見る』について。問い3に最も注目します。
傍線部B~私達はお互に深い吐息をついたり、相手をとがめるような瞳をむけあったりしたのである。~
・・・・・あの井伏さんの代表作『山椒魚』の、岩屋に閉じ込められたオオサンショウウオと蛙とのやりとりに、とてもよく似た表現なのです。

 

NP(この語については後日詳しく説明しますね。)解析では、
この問い3もしくは問い4という位置に、問題文章全体における、
「抽象」系の重要な「肝心」があるとします
(評論・小説・古文・漢文問題のすべてにおいて、です)。

 

具(つぶさ)に読まなくてもわかるのです。
もちろん「たま虫」は、ある時期の作者自身を「象徴」的に示す「暗喩」なのでしょう。
・・・「虫素材」と私は名付けています、ズバリ「蠢(うごめ)く心」の暗示が込められています、きっと。

 

翻(ひるがえ)って、大問1(木村敏さんの評論)の問い4、傍線部C~生物としての人間の、最大の悲劇~
・・・すごいですね、偶然でしょうか、明らかに小説問題の主旨とも連動しているのです。
同じく抽象系問題の位置で発せられた設問です。

 

これから、こんな興味本位の「おもしろ素材」を、折に触れてお届けしてゆきます。
是非、「追っかけ」になって応援して下さい。
・・・自然に語彙力・読解力・表現力・感覚力がついてゆきますよ。

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