NPブログ - Leitmotiv ~言葉・論理・主題連鎖への旅~

2012年07月

「それはユリ科の観葉植物だろ」私は彼となって、そう一人ごちた。原稿は落ちた。
正確に言えば、原稿が落ちたのではない、原稿自体が落ちだった。

雛鳥とは、自分のことだ。二度餌をくれたのは、お前。

お前は自分を愛せるのだろうか?

YES I CAN.

 


前回の「群青色」の記事で「フェルメール・ブルー」について、とても心爽やかになるコメントをいただきました(是非皆さまお読みください、懐かしくも清々しい想いに誘・いざな われます)。また、新たに美学生のOMさんから、直接見解をいただきました。

コメントでは、さまざまな「追憶回想の世界」のフェルメール・ブルーを鮮やかに表現していただきました。
また「耳飾りの少女」についての見解では、「引き算の美学」(どんどん消していって最後には鑑賞者と少女しか残らない)「鑑賞者の解釈の自由」(画家自身の認識)「正解を知らない方がいいことがある」(無数の解釈が成り立つ分少女は魅力的)と。

合わせて、「色」は単一絶対では有り得ないのだと、あらためてNPは思っています。
偶々(たまたま)最近、北海道大学の2011年入試問題、中井久夫さんというかたの『私の日本語雑記』という評論を取り扱っていました。その一節です。

・・・私は、たまたま、色彩のエスノ言語学(注:民族言語学)によって、いかに人が色を言語化することの不十分かを知った。普通の市民は高度に概念的に色を見ている。樹を緑に、海を青く、と「固有色」に塗るのが多数派である。・・・しかし、樹は緑、晴れた空は青という「概念化」がなければ、子どもは当惑してしまうかもしれない。人間にとって未曾有(みぞう)のものの色の固定はずいぶんあやふやである。・・・

たとえば「夏色」ですね、ゆっくりゆっくり・・・。

今日は河童忌でした。芥川龍之介が昭和2年7月24日に他界(たかい)したことを偲(しの)ぶ日ですね。その年、東京は暑い暑い夏だったようです、「将来に対する唯ぼんやりとした不安」・・・友人あての書き置きを遺して、東京帝大10歳先輩の斎藤茂吉に処方してもらった睡眠薬(当ブログ「斎藤茂吉」参照)を致死量服薬・・・亨年(きょうねん・亡くなった年齢)35歳、漱石・鷗外を越える天才小説家との世評。

芥川には、昭和2年という時代の色は、どう映っていたのでしょう。
大正8年には、作品『蜜柑』に色鮮やかに描かれているように、深い疲労と倦怠と退屈を忘れることが出来たはずなのに、大正後期・末期に何があったのでしょう。
昭和初期、遺稿の一つとも言える『歯車』には、レエン・コートの灰色を初めとして、赤光、黄色いタクシー、黒と白、等々の色彩が次々と現れ、やがて視界には半透明色の歯車が回り出すんですね。

そんなに目まぐるしく生き急がなくてもよかったのに、ゆっくりゆっくり(ゆず)・・・。




シャコタン・ブルーから、フェルメール・ブルー、さらにウルトラマリン・ブルー、群青色。

フェルメールに造詣の深い知人(美学を専攻している大学生)から、下記の見解を貰いました。許可を得て、そのまま転載です。

フェルメールのブルー(ラピスラズリ)は深みのある青で透明感があります。フェルメール作品は大概のものが痛み、変色しています。真珠の耳飾りの少女は修復されていますので今回くるのもオリジナルに近い綺麗な作品です。楽しみですね(´ω`*)

青が聖と俗を繋ぐ解釈は面白いですが、残念ながら私はそう感じませんでした(´・ω・`)
誰でもない普遍的美人が物語性や宗教性まで廃し、純粋に付属品のないただの絵として、どれだけ人を惹きつけられるかということに画家が心を砕いた絵に思えるからです。そこには絵の少女、そして鑑賞者、その奥にいる画家しか存在しません。聖俗の区別は宗教画的性格を帯びてしまいます。少女の神秘性が絵の魅力を高めているとは思います。

以下、NP俄(にわ)か勉強です・・・。
フェルメール「真珠の耳飾の少女」のターバン等に見られる青は、天然ウルトラマリンブルーという色のこと。天然ウルトラマリンはフェルメールの絵画において 特徴的な色彩である為、フェルメール・ブルーの異称を持つ。非常に貴重な鉱石「ラピスラズリLapis lazuli)」を原材料としていて、フェルメールがオランダで生きた17世紀には金よりも高価であったといわれ、「天空の破片」と呼ばれる。
群青色(ぐんじょういろ)とは、やや紫みを帯びた深い青色。ウルトラマリンブルー( ultramarine blue)と同一とされることもあり、単に群青(ぐんじょう)あるいはウルトラ マリンと呼ばれることもある。

ここから漸(ようや)く今日の本題。
色を言葉で伝えるのは至難の業(しなんのわざ)ですね。共通理解の概念が必要なのですが、概念自体が「色彩感」という視覚的な感覚になり、視覚は体験的な誤差(認識の幅)を広げやすいからでしょうか。

少女のターバンの色は、群青色ということになりますね。NPは全くそうは思っていませんでした。群青・藍(あい)・紺(こん)の中で、最も紫に近い・・・否(いな)、ターバンは、むしろ蒼(そう・あお、濃い青)色かなと感覚的に見ていました。
少女の神秘性を高めているのが、僅(わず)かに帯びている「紫」だとすれば、大和の国でも「紫」は高貴・聖域の象徴、同様ですね。フェルメールは物語画家から風俗画家に転向したそうですが、物語性や宗教性を一切取り払って尚(なお)人を惹きつけるもの、それを根拠に「聖と俗」の挟間を見るというのは・・・無理でしょうか。

「群青」は谷村新司・スピッツ・福山雅治が、それぞれ「色」のイメージを活かして曲作りしているようです。「聖と俗」は、どんな風に反映しているでしょうか。

独白(モノローグ)質問ばかりを綴(つづ)りました、今日は「大暑」。

兎も 片耳垂るる 大暑かな (芥川龍之介)  
・・・なぜ、語呂(ごろ)悪く 「うさぎも」 なのでしょうか。
当初は「小兎も」だったそうです、575でぴったりなのに、謎ですね。
明後日は、芥川を語ってみます。

  原稿落ち       NP

「待って」と彼は言った。
「消えたのは母の記憶?母自身?」訝しそうに二つの文章をなぞりながら、彼は私と同化した。

そうだ、私は彼なのだ。
少年時代の記憶を辿りながら、眼前の分身を見つめる私がいる。

母はいない。

「いないのはなぜ? 失踪したの?事故で?」また発問の連鎖。

訊きたいのはこちらの方だ。母不在の設定に、意味付けを要する。

誘拐という被害は資産家もしくは怨瑳の対象たる代償であろうか、そして、一年間不在だったのは彼のはずだ。なぜ、いつの間にか母がいないのだ。誘拐と失踪が同時進行だったことになる。

母はいるよ。


「祖母つまりお前の義母が、お前の妻つまり俺の母を見舞った後、病院を出て車にぶち当たったわけだろ?」まるで狂言回しの御都合セリフだ。こうでなければ整合性が不明になる。
「あ、わかった」


母はいないようでいる。

文章相互の希薄な連関を突き合わせる。唯一の解釈は、お約束の暗喩に任せるしかない。
四歳から五歳まで姿を消していた彼は、「母の記憶喪失」を示す。
だから、彼が戻ってきた以上、母は花瓶となって、そこにあったに違いない。

 
母はこわれた。

「母と義母の関係は?」「俺は母の記憶なの?」「俺はお前自身?」
立て続けに秘密は暴かれる。枯れてしまった観葉植物、砕け散る花瓶、ビターしかあり得ないチョコ、……それらひとつひとつが答えだ。

ユタカ、と叫んだ。

豊のことを「彼」と書いたノートが姑に見つかった。修正液を不自然に垂らした個所を見咎められた。私は、私の姑と彼の母との異化をしそびれた。私は万年筆が好きだ。

私は万年筆が好き。私は万年筆が好き。私は万年筆が好き。私は万年筆が好き。私は万年筆が好き。私は万年筆が好き。私は万年筆が好き。私は万年筆が好き。私は万年筆が好き。私は万年筆が好き。私は万年筆が好き。私は万年筆が好き。私は万年青が好き。


おもと、と書き損じた。

「それはユリ科の観葉植物だろ」私は彼となって、そう一人ごちた。原稿は落ちた。
正確に言えば、原稿が落ちたのではない、原稿自体が落ちだった。

……が、これは終焉ではない、断言する。そうあってはならない。いくつかの謎がまだ解かれていない。
とりわけ、「愛について」のそれが、艶やかに残っている。













   

 

1仄聞する・ソクブン  2郭公(2通り)・カッコウ&ホトトギス  3松魚・カツオ  4覗く・ノゾ  5馳せる・ハ  6雑ぜる・マ  7如何(2通り)・イカガ(イカン)&ドウ  8冷汗三斗・レイカンサント  9途轍も無い・トテツ‐ナ  10顰蹙を買う・ヒンシュク‐カ  11頁を繰る・ページ‐ク  12苛々する・イライラ  13司る・ツカサド  14大袈裟・オオゲサ  15纏わる(2通り)・マツ&マト  16覆い被さる・オオ‐カブ  17錚々たる・ソウソウ  18灰汁が強い・アク‐ツヨ  19柑橘・カンキツ  20爽やか・サワ  21手繰る・タグ  22蒔く・マ  23聞き質す・キ‐タダ  24括る・クク  25俯瞰する・フカン  26措定・ソテイ  27硝子・ガラス  28障子・ショウジ  29檸檬・レモン  30雑魚寝・ザコネ  31相殺する・ソウサイ  32牽強付会・ケンキョウフカイ  33呆れる・アキ  34生半可・ナマハンカ  35堪能(2通り)・タンノウ・カンノウ  36聳える・ソビ  37佇まい・タタズ  38御伽噺・オトギバナシ  39準える・ナゾラ  40唱える・トナ  41泰斗・タイト  42艶やか(2通り)・ツヤ&アデ  43囃し立てる・ハヤ‐タ  44甦生する・ソセイ(コウセイ)  45嵌める・ハ

如何(いかが・どう)でしたか?・・・使って身に付けるといいですね、鋭意実践です。

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