NPブログ「Leitmotiv 」言葉・論理・主題連鎖への旅

2013年02月

先日新刊を読ませていただいた駿台の英語科・大島保彦先生が、東大理Ⅲに一つの予備校校舎から19名の合格者を出した年、東京に大雪の降った朝、正規ではない付加授業、それでも教室を満員にして待っていた受講生たちに、最後に見せた映画だそうです。

ロバート・デニーロとロビン・ウィリアムズ、患者と医師役の演技を、今、実らないかも知れない孤高の努力に最善を尽くしている全ての人たちにエールとして送りたい、そんな気分です。

でも、実らない努力はないのだと思います。
努力が実ってこそ実力・・・とずっと言ってきました。が、実らせようとして懸命に頑張る力、それが努力であり、努力出来ることが実力なんですね。

国公立大学 前期日程 入学試験の日の朝です。

受けられるだけで幸せ・・・そうだね、でも、通ってもっと幸せになろう。

頑張れ2013年受験生のキミ。



2013東大国語・文系第四問は端的に言ってしまえば文系により強く求められる「文章表現力」に関する問題を想定します。広く大きく構えましょう。色んな切り口はありますが、究極は「レトリック=修辞法」ということです。
まず、出典の原作者がどのような立場から何を論じて何を考察させたがっているのか、それを全体で捉えます。次に、出題者は何を求めて何を書かせたがっているのか、それを部分で掴みます。
記述は、大胆にゆきましょう。抜き出しでは評価が低いのです、解釈しましょう。肝心・根幹と思われる語句は念のため「抜き出し+換言」にしておきましょう。
設問には「流れ」があります。「①素材(⇒具体)⇒②抽象⇒③象徴⇒④主題」の順に考察解答しましょう。イメージ的にはその四問(五問)です。配点は②と④が高いです。傾斜配点をもぎ取りましょう、檸檬を齧(かじ)るように、酸っぱくてもそのまま味わいましょう。

苦手なことは人生に山ほどあります。上りましょう、高みに。裾野(すその)ながら応援しています。

【意味】
アプリオリ(先天的・前提的)・アポステリオリ(後天的・経験的)
コンセプト(概念・着想)
クローズドサークル(閉ざされた範囲)

【読み】
一入(ひとしお)
(さば)く。
慧眼(けいがん)
⑦買い(あさ)り
(だま)され(かた)られる。

【書き取り】
ハソク(把捉)する。
アッカン(圧巻)
スイコウ(遂行)する。
キマグ(気紛)れ
ギコ(擬古)物語とハイカイ(俳諧)趣味
ホウトウ(放蕩)
シャレ(洒落)
ノウコウソク(脳梗塞)
カス(掠)め取る。
ウグイス(鶯・鴬)
ユエツ(愉悦)
イッチョウラ(一張羅=一着しかない上着)

合格点は7割で日本語検定の準1級クラスでしょうか。
インセキが降ってきましたね、書けますか。また、その暗喩象徴的意味は?
後日、コウモリカラス(これも書き取りは?)とともに考察してみます。

二十四節気のひとつ「雨水(うすい)」は地味ですが、「ひと雨ごとに春」という実感を与えてくれます。
今年は2月18日(月)ですね。立春から二週間後、私的には引っ越しの翌日になります。3月5日の「啓蟄(けいちつ)」に繋がってゆきます。

春の草木が息吹を得る、そのための潤いの時季。
大学受験生の皆さん、愈々(いよいよ)最後の戦いですね。

今、敢えて、この言葉を贈らせて下さい。

~楽しく生きるためにはエネルギーがいる。戦いである。~(『69』 村上龍)

今日は朝から雨です、慈雨(『こころ』夏目漱石)が降り注ぎますように。

前項で、直近の5年分ですが傍線部の重なりを指摘できます。
2013年について、強いて言えば5年前の2008年の問題設定との類似性を予測します。

従って、「歴史哲学的な文化論」というのが2013年国語問題・大問一評論の予想です。
でも・・・予想があっても、今更対策はというと・・・。

外れても途惑わないこと」ですね。
・・・ただ、小論文語彙集などで、文化・歴史・哲学的な語彙を総括しておくのは有効です。
政権も再び交代して、対外関係や経済状況も合わせて混迷の度を深める今、だからこそ・・・普遍的で揺るぎのない文化・歴史・哲学的な認識考察が求められるということです。
本当に大事なのは、入学したあとの「学生としての実力」ですからね、特に「探究心」でしょうか。

思いっ切り、頭の中を抽象・観念的にしておけば、東大の対受験生要望に応えることが出来そうです。

文科の人へ。
大問四の随想的評論は、例の「隔年現象*」で言えば、2013年は「柔らかい随想的・個性的な文章」の年回りです。上記一とは相当雰囲気の異なる、「あの東大が大胆にも・・・」という想定外の出題に、平然と対峙して下さいね。京大が昨年回帰したように、「小説問題の復権」を願ってはいます、せめて「私小説」ですね。

東大の入試国語は・・・国家(**)・共同体・組織・係累(けいるい=束縛的な意味での家族)などの繋がりや枠を意識した、大局的・高所的・社会的・使命的な出題であるのだと考えます。もちろん、古文も漢文もそうです。
大所高所に居ることの誇りと感謝」を忘れずに、受験生のかたは頑張って下さいね。

*東大の文科・大問四「隔年現象」・・・一年毎に硬・軟・硬・軟タイプの文章が巡るというものですが、NPはむしろ、重複対比という発想から、両者の垣根は次第に無くなりつつあるように思えます。
**この1月に出版された、『東大入試問題に隠されたメッセージを読み解く』(駿台予備学校英語科の大島保彦先生)を参考に読ませていただきましたが、特に流用・援用はしておりません。

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