NPブログ「Leitmotiv 」言葉・論理・主題連鎖への旅

2015年01月

努力する人は希望を語り、怠る人は不満を語る。
(井上靖:随筆「一期一会」)

本校の高校30期卒業生たちに贈る、
教職員たちの言葉を集めた冊子「折柳集」に綴られています。
S氏「豊かな人生を」と題する小文の中での引用です。 

このかたご自身の文章はとても短いのですが、
この言葉は珠玉と思われ、
全体も心に響きます。 


ちょうど中一の授業で、
井上靖の四部作とも言える
『あすなろ物語』
『しろばんば』
『夏草冬濤』(なつぐさふゆなみ)
『北の海』 
を紹介しています。 

『あすなろ物語』は主人公の名前(鮎太)も設定も別物なので、普通は『しろばんば』からを自伝的「三部作」と言います。三部作は主人公・伊上洪作の幼少時代、沼津中での少年時代、浪人時代と四高柔道部との関わり・・・などの順に描かれてゆきます。

井上靖は四高(第四高等学校⇒現在の金沢大学)理科から、九州帝国大学(現在の九州大学)法文学部・英文科へ入学して中退、京都帝国大学文学部・哲学科へ入学卒業という経歴です。

ノーベル文学賞の候補にもあがったようです。
・・・歴史作品を中心に各国語に翻訳され、日本ペンクラブ会長時代にはしばしばノーベル文学賞の候補とされた。読売新聞は2012年3月にノーベル委員会のペール・ベストベリー委員長に取材し、「井上靖が、非常に真剣に討論されていた」といったコメントを得たことを報じた・・・(Wikipediaより)


きっと井上靖さんは「希望を語る人」だったのだと思います。
再読したくなり、
エッセンスをお伝えしたくなりました。


寒い寒い日です。
希望を語る一日でありますように。

 

【戦闘へのアンチテーゼ】

音楽祭での合唱クラス対決(2月16日:フェスティバルホール)も少しずつ近付いてきました。
NPクラスは「手紙~拝啓 十五の君へ~」です。
合唱部のOGに指導に来てもらう作戦を立てています。

平和だからこそ、
こんな対決や作戦も楽しめると、
切実に感じる「今日」です。


《魚弁当対決・照り焼き vs 味噌漬け焼き》
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*さごし・・・
「春告魚」のひとつ「鰆」(さわら)の、幼魚もしくは小さいもの。

 

グリム童話の初版を素材にした裏・解釈本を読んでいます。

・・・白雪姫を殺そうとする后は実母ですが、第二版以降では継母となりました。
実母が自分の子どもを殺すのは残酷すぎるという批判を受け、また「虐待(いじめ)」の悪役に、よりふさわしいとグリム兄弟が考慮したのでしょう・・・と著者の由良弥生さんは記しています。 

「白雪姫」は、それ以外の表現もかなりリアルで生々しいものです。

由良さんによると、「実子殺し」や「虐待」 以外にも・・・、
高慢・嫉妬・憎悪・人肉嗜食(ししょく:カニバリズム)・復讐などが描かれ、
ほかのグリム童話とは、ひと味もふた味も違います・・・とのこと。 

では、NP的暗喩考察です。
前述(白雪姫を室内に発見する時)の「七人の小人」のセリフを、
「七つの大罪」順に符合させてみます。

①イスに座る⇒傲慢・・・これは後のベッド同様「人の場を奪う」ことで合致します。
②皿から取る⇒物欲・・・これも食べる前に「人の物を奪う」ことで合致します。
③パンをちぎる⇒嫉妬・・・「ちぎったパン」は「死の神への供物」(イメージ・シンボル事典)で妬ましい感情は微妙です。
④野菜を取る⇒憤怒・・・「野菜のように茂る愛」から「人の愛を奪うこと」で意味は真逆となり合致します。  
⑤フォークを使う⇒貪食・・・「憎悪に満ちた」「形状」から「分裂や増殖」(同上)でやや曖昧です。
⑥ナイフで切る⇒色欲・・・これはきわめて暗示的でこの生臭さこそが性的イメージに合致します。
⑦グラスを飲む⇒怠惰・・・これも「純粋性・処女性の喪失」(同上)と「放縦・放恣」*のイメージで合致します。


(さらに続きます。)


さて、強烈な寒波到来です。

具沢山の「粕汁&御飯」で温まります。
放縦・放恣の食材化ですね・・・、ごちゃまぜ。
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*放縦(ほうじゅう)・放恣(ほうし)・・・
勝手気ままで、だらしがない様子だ。
[ともに新明解国語辞典]



 

お后の命令で言葉巧みに奥深い山へ誘い出されたものの、
狩人に解き放たれた白雪姫は暗い森の奥へ逃げ出して、
いっそう深い森の中へ逃げ込んで奥へ奥へと走り、
行く手に小屋を見つけて足を踏み入れます。

白い布をかけた小さい食卓に七枚のお皿、
スプーン、フォーク、ナイフ、グラスも小さいのが七つずつ、
さらに壁際には白いシーツの敷かれた小さいベッドが七つあります。

・・・こうして白雪姫は七番目のベッドにもぐり込み、ぐっすり寝入ってしまいました。

夜になって小屋の主たちが仕事から帰ってきます。
山の中で鉱山を掘っている七人の小人でした。

(ここから注目のセリフです。)
小人はそれぞれの明かりを七つ灯したとたん、
家の中に何者かが入ったことを見破って言うのです。

・・最初の小人「誰か、私のイスに座った奴がいる」(①)
二番目の小人「誰か、私のお皿から取って食べた奴がいる」(②)
三番目の小人「誰か、私のパンをちぎって食べた奴がいる」(③)
四番目の小人「誰か、私の野菜を取って食べた奴がいる」(④)
五番目の小人「誰か、私のフォークを使って食べた奴がいる」(⑤)
六番目の小人「誰か、私のナイフで切って食べた奴がいる」(⑥)
七番目の小人「誰か、私のグラスから飲んだ奴がいる」(⑦)

さらに全員が次々とこう言います。
「私のベッドに上がったのは、誰なんだ?」
七番目の小人が自分のベッドに目をやると、
そこには可憐で美しい少女が横になって眠っていたのです。

・・・・・・・・・・・・

「森の奥」+「奥深い山」+「いっそう深い森の中」+「奥へ奥へ」=「七つの山」

???????

NPオリジナル暗喩の読み取りで考察します。
①イスに座る・・・・・・・・・・・・・・傲慢
②お皿から取って食べる・・・・物欲(貪欲)
③パンをちぎって食べる・・・・・嫉妬
④野菜を取って食べる・・・・・・憤怒  
⑤フォークを使って食べる・・・貪食
⑥ナイフで切って食べる・・・・・色欲(肉欲)
⑦グラスから飲む・・・・・・・・・・怠惰

これは・・・難しいですね・・・まさに牽強付会(こじつけ)気味。

!!!!!!!
 

(続きます。)

食欲と言えば、
肉じゃが
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牛肉
メークイン
人参
玉葱
絹さや








 
やがて上記童話に登場します・・・赤りんご。
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 サンふじ
(一部皮付き) 











ラベル、レッテルと闘い続ける食材・・・。

しっかり食べたなら、
今夜はおやすみなさい。 

前日ブログに記したように『グリム童話』の裏本を読んでいるのですが・・・、
「白雪姫」に描かれるのは、キリスト教的な「罪」の話だと言う指摘があります。

関連して、漫画・アニメ「七つの大罪」についても触れたいのですが、
ここでは、一般的な「七つの大罪」から「七人の小人」の暗喩を考えることにします。

白雪姫を狩人に葬らせたと思い込んでいる后は、「ほんとうのことしか言わない鏡」の、
「ここではあなたが一番美しい。でも七つの山を越えた向こうにいる白雪姫は、あなたより千倍も美しい」
・・・という答えに驚愕し激怒し憎悪するのです。

七つの山、
七人の小人・・・。

そこで、
「七」の持つ意味ですね。
以下、「イメージ・シンボル事典」(アト・ド・フリース著:大修館書店)より抜粋。
(極めて膨大な記載に付きエッセンスのみ)

【seven 7】
1:聖書・キリスト教・神聖・愛(アガペー)
2:光線・恍惚
3:完成・成就
4:秩序・意識
5:創造・宇宙
6:安定・安息
7:浄化・幸運
8:英知・時代
9:多数・栄光

10:邪悪・大罪
11:苦痛・天罰
12:悔悛・葛藤
13:頑固・虚偽
さらに
14:神秘・治癒

・・・概ね、このように並んでいます。

では、「七つの大罪」について。
[Wikipediaより]
日本語  ラテン語 英語
傲慢  superbia   pride
物欲(貪欲)avaritia greed/avarice
ねたみ(嫉妬) invidia envy
憤怒  ira       wrath
貪食  gula    gluttony
色欲(肉欲)luxuria   lust
怠惰pigritia seu acedia sloth/acedia
中世キリスト教の世界観が最もよく表されているダンテ・アリギエーリの叙事詩、『神曲』煉獄篇においても、煉獄山の七つの冠において、死者がこの罪を清めることになっている。
(途中記載の抜粋)


クラス提出物のひとつに、
「色欲って何ですか」と書いてくれた男子生徒がいて、
回答に思案しました。

NPリプライ:性欲と同様のものですがegoismが強いように思われます。


まずはここまで。

天候に負けない、
いい一日でありますように。


 

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