NPブログ「Leitmotiv 」言葉・論理・主題連鎖への旅

2021年06月

明治四十(1907)年六月四日…
夏目漱石は朝日新聞社との
職業作家契約第一弾となる
「虞美人草」の執筆開始…。


中旬(ちょうど114年前)になり既に
ヒロイン甲野藤尾のキャラ設定は
悪女から魅力的に小悪魔的になり
「思わぬ難所・岐路・問題・誤算」
を抱え始めながら執筆は八月末迄
連載は6月23日~10月29日でした。

藤尾クレオパトラ大構想などと…
半藤一利*『漱石俳句探偵帖』で
破綻が興味深く述べられています。


その六月中旬は更に漱石の神経に
障るような「有名文士招待」状が
時の首相 西園寺公望から届いて…
鏡子夫人の「相手は西園寺さん、
ですよ。葉書とはあんまりひどい
じゃありませんか」という声にも
平然と「ナーニ、これで用が足り
るんだから十分だよ」と辞退し☆彡
葉書の端っこに添えた一句が漱石
らしさを語る有名な時鳥句でした。

《時鳥厠半ばに出かねたり》

ホトトギスは三夏の季語で漱石自身を
かわやなかば は「虞美人草」執筆中を
意味するととれますが相手はパリ趣味
サロン好きの総理大臣で…痛快ですね。


ただ漱石が辞めたがっていたのは出席
ではなくて…「虞美人草」という執筆
自体をもう「いやになった」のでは…
当時は神経衰弱と胃病の只中にあり…。

《垣老て虞美人草のあらはなる》
(漱石:M41年)


さて「虞美人草」とは雛罌粟(ひなげし)
の雅名で(シャーレイ)ポピー・コクリコ
と英・仏語の名もあり…初夏~三夏季語。


【六月に『虞美人草』を読み始め】

【辞めるなら虞美人草の頃がいい】


[追記]
雛罌粟の花言葉は「いたわり・思いやり」
「乙女らしさ」ですが… 「別れの悲しみ」
もあり… 漱石は朝日への初連載小説題名
を決めかねていた五月末の吉原神社祭礼
の帰りに 弟子の小宮豊隆とたまたま見た
鉢植の花の名前を店主に訊いて… それに
したというエピソードが残っています…
「虞美人草でさぁ」「じゃあそいつを」
現代なら「ポピーだよ」「それいいね」
もちろん『虞美人草』を美文調ながらも
「傑作」とする評も多くあります… 何と
言っても大人気作家の期待すべき第一作
連載… ここから未完の遺作『明暗』最終
稿(1916年12月14日掲載)迄…僅か九年半。



*半藤一利(はんどうかずとし)・・・
2021年1月12日に90歳で死去した作家
でジャーナリスト、歴史・戦史研究家。
近現代史、特に昭和史に関し人物論・
史論を、対談・座談も含め多く刊行。
妻の半藤末利子は、松岡譲(作家)・
筆子(夏目漱石の長女)夫妻の四女で
漱石周辺に関する随筆を多く執筆した。
[Wikipedia編集]

☆彡辞退・・・
坪内逍遥・二葉亭四迷そして漱石の3名。
出席17名は鏡花・小波・独歩・露伴・
藤村・花袋・秋声・眉山・鷗外・柳浪
など「一流文人オンパレード」だとか。
[半藤の『~探偵帖』による]

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動物素材に絞って鑑賞しました
ブログカテゴリーも「動物」付。

鳥・魚・虫などを含めてなので
「生き物素材」と言えるもの…。


自動ドアひらくたび散る熱帯魚
踊るやうに歩く看護師夏燕
自転車の籠濡れてをり蛍の夜
間取図のコピーのコピー小鳥来る
猫の毛の一本青し夜の雪
沈黙を兎のひげにくすぐらる
恋猫の抜けて来し闇縹色 
(「はなだいろ」は薄い藍色)
鳥の恋ぬり絵をうすく塗りゐたり
養花天馬跳びの馬起き上がる
(「ようかてん」は花曇り)
フェレットの平らな散歩春の雲
寄居虫の楽園をゆく歩幅かな
(「やどかり」は「かうな」とも:方丈記)


第一章「一塁ベース」のみで
これだけのヴァリエーション
44句中11句の生き物素材。

生き物を描きながら必ずその後景に
当たり前のように人が潜んでいたり
人の世界のミニチュア版だったりと
「写生」を越えて伝わってくる観賞
…ならぬ感傷(センチメント)という鑑賞…。


第二章以下の章題
「城へ」60句中19句
(夜盗虫よとうむし・蜷にな・田螺たにしなど印象的な
句が多く、ここに題名句あり)

犬の眉生まれてきたるクリスマス

「アフリカ」52句中12句
(鶲ひたきなど…、比喩的に鯖雲、犬笛・畜産科も含む
次の句は故・金子兜太の「青鮫句」踏まえたものか)

青鮫の来るほどシンク磨きけり

「好きな鏡」52句中12句
(鷽替うそかへ神事含む、次の句は茨木和生氏「蝮」の
句を個人的に想起)
蝮ゐて島の滞在一時間

「ネコ科」44句中12句
(ががんぼ:大蚊、ユーモラスな句あり)
ががんぼの摑みそこねし世界地図

「超軽量」64句中22句
(鵯ひよどり、ひよ・梟ふくろう・鳬かもなど鳥の句
に惹かれます)
鶴帰る古代紫色の空

 
七年前のちょうど6月の刊行です…まったく
ご年齢やお立場やご職業などは大変失礼乍ら
踏まえることなく何度も…前項『シーグラス』
同様に数えながら味わいながら行きつ戻りつ
…でも何かとても自由で軽やかな気がします
「純粋鑑賞」という言葉が当たっているのか
不遜で不勉強なものなのかは兎も角として…。


帯・跋文(石寒太氏)・あとがき・著者略歴…
すべて・・・これから読ませていただきます。


何も先入主(予備知識・事前学習しかし別の
言い方をすれば束縛・柵しがらみ)無しで鑑賞
させていただくことの可否あるいは是非を
自問自答しています…たとえば畏れ多くも
金子兜太(かねことうた)句集『百年』など
は…ずっと持っていてちょこちょこ読んで
いますが…とてもおいそれと当シリーズに
アップできそうもありません…冷汗三斗。💦


旧暦で「梅雨入り」の皐月四日…昨夜が
三日月🌒でしたが…再び梅雨前線形成で
天気は下り坂…「犬の眉」は三日月の意
「眉月」(びげつ・まゆづき)につながるものなの
でしょうか…すきなようにあそんでみたい
気のする眉の形…正午の予約投稿とします。( ˘ω˘ )


【眉なんの為にあるのと夏の犬】



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今年度は期末考査の日程が早くて
来週火曜日には一週前に入ります。

高一の国語総合と高二の国語演習
双方で試験範囲としているのが…
「奥の細道」で前者は教科書掲載
の「旅立ち」(深川~千住~草加)
後者は基礎古典問題集の「日光」。

元禄二年(1689年)の弥生二十七日
(陽暦の5月上旬頃で気候は旅日和)
…あけぼの(明け方)に有明の月の下

「行く春や鳥啼き魚の目は泪」(芭蕉)

とりがなくように うおがなみだを
ためるように… 見送りの縁者との
別れを惜しんでいますが… 実の所
標題の塩見先生(兵庫県の私立高校
甲南を率いて俳句甲子園全国大会
優勝)もテクストで御指摘のように
徳川五代将軍 綱吉の発した「生類
憐れみの令」への「きわどい着想」
があるとも感じられるのです…NP
解釈では「泣いているのは庶民」
で鳥や魚も人も生類なのだが…と。

穿(うが)ち過ぎでしょうか… でも
やはりひとつの「非純粋鑑賞」と
して(非純粋は不純?😞💦) 生徒
とは「面白可笑しく」芭蕉と幕府
との関係性を妄想したくなります。


旅立ち三日後の卯月朔日(うづきついたち:
四月一日で衣更ころもがへの初夏)日光の
麓に着いていますが…千住からの移動距離
は約150kmで一日平均50km… 速過ぎる👀
(幕府隠密説や馬駆け説あり)その上 東照宮
(家康を祀る)への「憚(はばか)り:遠慮」が
「多くて筆をさし置きぬ」とは…はてさて
何らかの隠匿の「密命」でも受けながらの
… ミステリアスな「謎の旅」であったかも。

「あらたふと青葉若葉の日の光」(芭蕉)

芭蕉は何度も何度も推敲する推敲魔であり
この句も季語「木(の)下闇」(こしたやみ)
を削っての句作との塩見先生の御指摘に…
「なんと尊い日光らしい燦々たる御威光」
などと「持ち上げ過ぎ」じゃないの😁と
「斜(はす)に構えて楽しむ」という番外編。


見開きごとのカラー写真と「自由な句が
どんどん作れる新しいテキストブック」
オススメの仕掛けで「同季併行」読み…


今日の6月12日(土)は陰暦皐月三日なので
…  現在の福島県北部の飯塚という温泉に
入った後 桑折あたりにいます(いました)。

ここで詠んだ句は残念ながらありません。


最下方でNPも一句を詠めないのですが…
あれほど心焦がれていた松島でも芭蕉は
やはり一句も詠めないのです… 一週後に。


月日は百代(はくたい:永遠)の過客(かかく:
旅人)にして、行き交ふ年も又旅人なり。


『奥の細道』冒頭の一文は… いまだに
現在完了進行形で… 永遠の旅の中です。


NPブログに「芭蕉と奥の細道」カテゴリー
があり季節と同時進行で歩んではいますが
何だか… 得心の行かない「代物」(しろもの)
になっています… かつての旅は今にあらず…
だからこそ芭蕉はいつまでも新しいのです。


塩見恵介氏の御著は8年前の芭蕉旅立ちの
日付3月27日に初刊…NPいまだ隅々耽読中。


【陸前に入り松島気にかかり
         一句を詠まぬ芭蕉追う旅】


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【日照りにも紫陽花ルーティンワークする】☀️

【アジサイは仕事熱心かも知れず】🏵️

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☀️ ・・・
旱(ひでり)と書いて晩夏の季語で本来は梅雨明け後
🏵️ ・・・
アジサイのマイナスの花言葉は「移り気・冷淡」 
カタカナで表記するとそのニュアンスが感じられ
 紫陽花にはプラスの花言葉で「団欒(だんらん)」
「和気藹々(わきあいあい)」が似合うようです。
 蛇足ですが紫陽花は仲夏の季語… まさに時は今。

2021年近畿の梅雨入りは
5月16日(日)でしたから…
すでに26日目になって
不意に梅雨前線が気象図
から完全に消えています。


全国各地で真夏日予報も
出ていますが…暦の上で
本日6月10日 時の記念日
旧暦 皐月朔日(さつきついたち)
五月一日は仲夏の初日…
そして明日雑節「入梅」。🥵

皐月は本来「早月」でも
あり「早乙女(さおとめ)」が
「早苗植ゑわたす」との
フレーズの「夏は来ぬ」
(早苗だから初夏なのか…)
という唱歌(歌詞:佐々木信綱)
にあるように芒種(ぼうしゅ)
の候らしくイネ植え付け
の時季なのです…漸くの
梅雨入りで雨の中で苗が
育つ…「五月雨」(さみだれ)
と「五月晴れ」(さつきばれ:
梅雨の晴れ間の青天)
の月のはず。


「豈(あ)に図(はか)らんや」(´∀`)

どうして予測できようか(できない)

蒸すような高温多湿の日に
なるそうです…やれやれ💦

☀☀☀☀☀☀☀☀☀☀☀☀☀☀

同時並行で読んでいる『1Q84』Book1
〈4月‐6月〉にはこうした季節のうつろい
・かげろいといったモード(調性)が希薄で
あるとあらためて感じています… ワード
プロッセッサー隆盛やカルト教団暗躍や
都市空間の描写には「時代性」がリアル
なのですが…「季節性」を感じることは
とても困難な気がします…言わば「無季」
無季は「無機」に通じるのかもしれない
… ちょうど12年前の5月30日刊行すぐ
読んだ時には自身にこうした「季節性」
に着目する「季節感」が欠落していた…
それが今回の再読でむしろ顕(あら)わに… (^o^)丿
明確な時系列が漸く感得されます…安堵。


医師でもあったロシアの小説家チェーホフに関し
随分詳細な記述があります… ああやはりジョージ
・オーウェルの『一九八四年』も『平家物語』の
直後に出てきますね…「ビッグ・ブラザー」の話
ですが「リトル・ピープル」とツウィンになるの
かも知れませんね…読解妄想は募ります…純文学?


それもこれも梅雨前線の消滅した
梅雨真っ只中での真夏日の午前…。


第24章 天吾 「ここではない世界
であることの意味はどこにあるの
だろう」… ここは実はもう七月の
半ば過ぎで“梅雨が終わる気配は
まるで見えなかった”とあります
… なんだか時空共にねじれて…。


この二年間… 私たちの世界から
いったい何が消えたのでしょう。


アニメ映画『天気の子』を想起
して… やっと季節感を感じて…。


【真夏日の空梅雨ではない梅雨の空
   ここではない世界である意味】


【指の先螢追ふ村上春樹】
(『蒼穹』夏の部)


ほんとうは今日から五日間は芒種 次候
七十二候の「腐草為螢」(ふそうほたるとなる)
…雨で腐った草の間からホタルが現れ
始める頃なのです…何がほんとうなの?



〖重大な追記〗
2021年は地域格差ここにも…
関東・甲信越はほぼ暦通りに
6月14日に梅雨入りです…これ
は例年よりは遅めですが陽暦の
入梅と陰暦の梅雨入り後3日~
1日後ですから標準的なのです。












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