未明、うっすらと雪化粧でした。
浜田省吾の「悲しみは雪のように」は、1981年に発表されました。もう32年前。
1992年にドラマ「愛という名のもとに」の主題歌になり、170万枚を越える浜省最大のヒット曲に。ドラマは21年前、鈴木保奈美と唐沢寿明・江口洋介の若かりし日々、最終回視聴率32.6%は当時のレコード、最終回の放送時間延長も当時の異例。
ウィキペディアにあるように、イントロがポリスのヒット曲「見つめていたい」に少しだけ似ています。

♪♪♪
君の肩に悲しみが雪のように積もる夜には
心の底から誰かを愛することが出来るはず
孤独で君のからっぽのそのグラスを満たさないで

君は怒りの中で子供の頃を生きてきたね
でも時には誰かを許す覚えてほしい♪♪♪

今回調べてみて、この曲が浜田さんの母親が脳梗塞で倒れた時に関連していることや、作詞者の彼自身が、詩人・吉野弘さんに傾倒していたことを知りました。作品の舞台背景は大切ですね。

吉野弘さんの詩の一行だけを借りた(作詞家・岡本おさみ)という曲が、吉田拓郎の「祭りのあと」です。(吉田拓郎は広島出身のミュージシャンという点で浜田省吾の先達でもあります。)

♪♪
日々を慰安が吹き荒れて 帰ってゆける場所がない
日々を慰安が吹きぬけて 死んで しまうに早すぎる ♪♪

この「日々を慰安が吹き荒れる」という言葉が、放蕩・安逸・慰謝・歓楽・無為・遊興・自堕落・無節操・・・など多様な意味を孕(はら)んでいると思われます。他のかたの詩の一番いいフレーズを、自分の詩の根幹に据える・・・これも「援用」でしょうか。
【注・・・センター試験の小説語句「放蕩」(ほうとう)とは、要はこういうことですね。】

岡本おさみの次に作詞家・松本隆と組んだ吉田拓郎が、一度だけ出た1994年の紅白歌合戦で唄ったのが、標題の「外は白い雪の夜」(1978年作)でした。
歌詞自体は悲しいエンディングなのですが、サビがとてもいいです。

だけど Bye‐bye Love 外は白い雪の夜
Bye‐bye Love 外は白い雪の夜
Bye‐bye Love そして誰もいなくなった
Bye‐bye Love そして誰もいなくなった ♪

卒業式のあとの、卒業生席も、こんな感じですね・・・。

ふうー、ライトモティーフ手法で書いてみました。
次回のタイトルは「そして誰もいなくなった」です。


*吉野弘
(1926年・大正15年~)

”I was born”という詩が高校教科書に載っています。この作品について、吉野さんの最高傑作であり現代詩が生んだ最高傑作の一つであると評価する詩人もいます。母校である山形県立酒田商業高等学校では、I was born の銘版が職員室前に掲示されているそうです。

吉野さんを敬愛するロック・ミュージシャンの浜田省吾が、自作アルバムに「雪の日に」の全文を掲載すべく承諾を得る手紙を書いたところ、吉野直筆の「わざわざご丁寧にありがとう」という旨の御礼の返事をもらい感激したことを、自らコンサートで明かしているそうです。浜田の代表曲「悲しみは雪のように」は「雪の日に」にインスパイアされて出来た曲。(以上Wikiなど参照。)