香川の「しろとり動物園」へは雨天のために行きませんでした。

それでも前日、松山市の南にある伊予郡砥部町の「とべ動物園」まで車を走らせたので、かなりの距離移動になりました。

そこでは・・・2000年生まれで14歳、現在は療養中の「ピース」というシロクマが今もとても愛されているのだと思いました。
厳選して買い込んだ写真ハガキは・・・
ピースのコグマの時・レッサーパンダの親子二匹・アフリカゾウの親子三頭・カイウサギ五羽・希少なホワイトタイガー 一頭の・・・計5枚。

動物園のタイガーと言えば・・・。


大正~太平洋戦争前後まで活動した作家・久米正雄に「虎」という短編があって・・・、
主人公の動物役者・深井八輔という新派俳優が、息子を連れて上野動物園に虎を見にゆく話です。
結末で・・・舞台初日に拍手喝采を浴びる縫いぐるみ虎役の彼は、幕が閉じた後に何を見るのか・・・。

この作品を「主役には決してなれない男の悲劇」ととる批評もあって、そうなると同期で手の届かない芥川龍之介(昭和2年7月自死)の、陰に隠れていた作者自身のメタファ(隠喩)となります。

・・・が、「虎」は「龍」と対を成すべき存在ですから、妙味を感じますね。

「新明解国語辞典」の教え通り、「動物園」をヒントに「啓蒙」的に鑑(かんが)みると・・・。

「虎」が発表された大正7年は1918年、第一次世界大戦終結の年。
加えて同年の「受験生の手記」は作中人物の遺書仕立て、これも悲しい結末です。
「私小説」的にとれば、作中の片思いの相手は、漱石の娘・筆子ということになります。
久米自身は少年期に、小学校・校長であった父親を自殺で亡くしていますが・・・。

学生生活も漱石山脈も、そして私生活も、ひいては世界も、すべては「動物園」での出来事だったのかもしれません。
もちろん悲しいだけが「動物園」ではありませんから、まだまだ楽しく行脚(あんぎゃ)をと考えています。



さて話と所変わって、東京で桜の開花宣言が出た昨日、高知は満開でした。

徳島~松山自動車道を西進東帰するにつれて、いろんな桜を見ることができました。

四国から讃岐を引いて阿波・土佐・伊予の三国横断、浪速(なにわ)発着の旅でした。

今日、3月26日は「七十二候」では、まさに「桜始開(さくらはじめてひらく)」の日。


「動物園」も「歳時記」も・・・「啓蒙」ですね。