山頂
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山の端
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山際
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『君があたり 見つつを居らむ 生駒山 雲な隠しそ 雨は降るとも』
新古今集:巻15恋歌5・1369 よみ人しらず 
伊勢物語:第23段 「筒井筒」

Q:この歌で用いられている修辞法は?

・・・というのが、一昨日の出題でした。

ネット上では「倒置法」という回答が専らなのですが・・・、

A:
①「雲-隠す、雨-降る」は、それぞれ「縁語」関係にあります。 
②同様に、この二組で「対句」関係にもなっています。
③「生駒山-雲」も、語呂が合う・似合うという意味で「縁語的・枕詞的」な関係です。
④「雲」は恋心の、「雨」は涙の、それぞれ「比喩(暗喩)・象徴」です。
⑤「雨は降るとも(逆接仮定)、雲な隠しそ(禁止)」が順正、勿論「倒置」と「強調」です。

・・・河内(八尾)の高安郡に住む女が、大和生駒の方から通ってくる男に対して哀切な思いを歌ったものです。 


・・・生駒山は平城京三山の一つです。
春日山(東)、生駒山(西)、奈良山(北)で、これらの三山は「守都山」。生駒山は平城京西方を守る山という位置付けだったわけです。 
参考までに、「大和三山」も有名で、
香具山・畝傍山・耳成山(かぐやま・うねびやま・みみなしやま)ですね。


【後記】
万葉集の第十二巻3032に原文があります。
「君之當 見乍母将居 伊駒山 雲莫蒙 雨者雖零」
これを万葉歌のよみかたをすれば・・・
3032: 君があたり見つつも居らむ生駒山雲なたなびき雨は降るとも
・・・となります。
伊勢物語の作者が、それをアレンジしたと、
超・現代語を使えば、「パクツイ」(パクリ・ツイート)したとも言えるのかも知れません。
なぜなら、
伊勢物語23筒井筒の「君があたり・・・」の歌自体が・・・、
「風吹けばおきつ白波たつた山 夜半にや君がひとりこゆらん 」
(風が吹くと沖に白波が起きる龍田川と同じように波立つの名を持つ龍田山を、あなたは一人、真夜中に越えていくのでしょうか。)という名歌・・・男に対する正妻の「ベスツイ」(ベスト・ツイート)の、
少しあとに寂しげに置かれているのですからね。