晩夏~初秋に聴きたい曲です。

インストゥルメンタル
オリジナル
ホールでの録音ライヴ
野外フェスライヴ
・・・・・・・
幾種類・幾度も聴いてみました。

全てにおいて名曲ですね。
歌詞を聴きとり、どこまで漢字で書き取ったらよい詩なのか難しいのですが・・・、
ライトモティーフ解析してみました。


素材:夏(モティーフ)
具体の中心:夢
抽象:想い出のあとさき
象徴:夏祭り 宵かがり
主題:私の心は夏模様

対比 :夏⇔冬   夢⇔想い出
比喩 :八月夢花火  私の心夏模様
他の修辞:
擬人法・対句法
~長い冬が窓を閉じて呼びかけたままで
~長い影が夜にのびて星屑の空へ
 
表現:
風あざみ・・・風とアザミ(花)を直結した造語であろうが、
「風」と動詞「浅(あさ・あざ)む=意外なことに驚く・はっとする」の連用形とも取れる。
宵かがり・・・同じく、宵とかがり(火)**の造語であろうが、
「宵」(夜)と動詞「縢(かが)る=糸で縫う・かがり縫いをする」の連用形とも取れる。


ミニ作品論:
「夢はつまり 想い出のあとさき」に、この詩全体の核心があります。想い出の後(あと)と前(さき:先)に夢があるということは、想い出が過去の現実である場合には、現実の前・後は夢であったということです。夢から覚めて現実を生きて、また夢に戻ってゆき、そこに想い出が残ったということ。
・・・ということは・・・私たちが常日頃過ごしている世界の多くは「夢の中」であり、夢から覚めて別世界で遊んで、また夢の中へ戻ってゆくだけ・・・というのです。

!!!なるほど、この夏NPGが少しこだわって論じた「荘子」の「胡蝶の夢」と同主旨なんですね。

夏が過ぎる今こそ味わってみたい「荘子的少年時代」なのです。


タイトルの「少年時代」・・・、
少年時代が夢なのではなく、
その前後が夢なのであって、
今、あなたは夢の中を生きているという「樞」(からくり)になります。

それにしても、
「あこがれ」「胸の高鳴り」こそが現実に他ならないという、
痛切な感傷(センチメント)を読み取れる・聴き取れる・・・、
だから、すべてにおいて名詩でもありますね。

明日からCD(ゴールデン・ベスト)を聴きながら授業で論じます。


少年時代
 
作詞:井上陽水 
作曲:井上陽水・平井夏美*
 
夏が過ぎ 風あざみ
誰のあこがれにさまよう
青空に残された
私の心は夏模様
夢が醒め 夜の中
長い冬が窓を閉じて
呼びかけたままで
夢はつまり 想い出のあとさき
夏祭り 宵かがり
胸の高鳴りにあわせて
八月は夢花火
私の心は夏模様
Hum hum ..........

目が醒めて 夢のあと
長い影が夜にのびて
星屑の空へ
夢はつまり 想い出のあとさき
夏が過ぎ 風あざみ
誰のあこがれにさまよう
八月は夢花火
私の心は夏模様



*平井夏美・・・
音楽プロデューサー川原伸司の作曲家としてのペンネーム。 Paul Wilsonのペンネームも持つ。 代表曲としては松田聖子の「瑠璃色の地球」、井上陽水の 「少年時代」(井上陽水との共作)などがある。
(ネット記事参照)

**篝火(かがりび)・・・
夜間の警護・照明や漁猟などのためにたく火。かがり。源氏物語第27巻の巻名。光源氏が玉鬘(たまかずら)のもとで篝火をたかせ夕霧・柏木との合奏を楽しむ。
(デジタル大辞泉より)


追記:入りからのピアノと間奏での管弦が、とても切々として美しいですね、何度聴いても心を揺さぶられます。