大学・大学院時代のゼミ研究室同期だった中井康行氏(大阪城南女子短大教授・夏目漱石研究家)から、
標題の研究紀要・抜刷(ぬきずり)を送っていただきました。

「暇つぶしにでもお読みください。」という一筆箋(いっぴつせん:津和野の葛飾北斎美術館の北斎漫画)が添えられていました・・・。

懐かしく有り難く嬉しく・・・、
年来ご無沙汰の距離感を覚えて、
少し哀しかったことです。


「漱石の胃病はよく知られることであるが、『吾輩は猫である』から『明暗』に至る作品には、自身の胃病に逆らうようにして、度々食物の話や食事の場面が現れる。これは、漱石が創作上素材の多くを日常生活から得ていたことと符合する。ただ、宿痾(NP注:しゅくあ⇒業病、生涯の病)となった胃病を抱え執筆活動を続けた作家をして、なお作中に繰り返し食物の話や食事の場面を取り込ませたことには、格別の意味も含まれていると推察される。・・・」
と、第1章は始まります。

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冊子終盤には、
漱石のロンドン下宿でのメニューであった、
プディング(パンプディング)が再現撮影・掲載されています。
岡本貴司講師による短大現代生活学科・実習での「振る舞い」とのこと。

漱石の、
食に対する好奇と貪欲さは、
作品中に常々感じていましたが、
さらに高度な「愕習(がくしゅう:驚愕の内に学習すること)」をさせていただきます。

よく読み込んで、
御礼の返事を、
相応しい一筆箋(鎌倉文学館の中原中也を予定)と共に差し上げたいと考えています。


・・・暇じゃなくても読むのになあ・・・。

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以下、最近のデザートから「優秀作品集」(旨い!(^◇^))です。

小豆羊羹(あずきようかん)アイスキャンディ
黄粉(きなこ)揚げパン&アーモンドクロワッサン
アーモンドチーズケーキ&冷緑茶
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「食は命」・・・。
中間考査の範囲となった井上ひさしさんの「握手」という作品中で・・・、
末期の悪い腫瘍(しゅよう)に冒されたルロイ修道士は、
「おいしいですね」と言いながら、
上野の西洋料理店での再会に、
プレーンオムレツをほぼ一口も食べることが出来ません。
元・施設の教え子で主人公の「私」は、
先生最後となる別れの挨拶に込められた意味を、
葉桜も終わる頃の一周忌に、
漸(ようや)く「分かる」のです。

「分かる」とは「別れ」なのです。
 

「漱石の食」・・・、
何と物悲しいモティーフなのでしょうか・・・。