【入賞句について】

天の川水切る石を集めゆく
(北斗七星)

季語は「天の川」で初秋。
大銀河を水切りできる川に見立てた壮大なスケール感。
この句は大阪府枚方市に淀川水系の「天野川」が流れ
その地に「七夕伝説」や伊勢物語ゆかりがあることを
踏まえてよむことで深みが増しますが…それは兎も角
水切りは懐かしいような主に子供の遊びでしょうか…
投石を水面上で滑らせて何回弾み跳んだか数えるもの。
そこに何らかの他愛もない願いを賭けたような記憶も
甦ってきます…水切りに相応しいのは平べったい形状
の石で河原で腰をかがめ探し集めている「景」鮮やか。
解釈ですが…「石」は「意思・意志」にも通じるかも。
第一席に選ばせていただきました…更なるご精励を。🎉🎉🎉


今朝の秋一階からの犬の声
(市森)

季語「今朝の秋」は立秋の日の朝のことで初秋。
「時場人物事情」が徐々に伝わる「視聴覚」的な句作
で…もし夏休みでもあるのならこの日作者はまだ寝て
いたのかも知れません…二階以上の部屋にいる家人に
早朝の散歩を強請(ねだ)る飼い犬の懸命の鳴き声が微笑
ましく…その声によってあらためて「今朝の秋」なの
だと「立秋」なのだと気づかされた「爽やかな気分」。
もちろんこの句にはやおら起き上がって犬を散歩へと
連れ出してゆく作者の姿やその散歩の間には愛犬含む
家族全員の朝ごはんが用意されるであろうことも想像
できて「起承転結」を感じるのです…次回も期待です。🎉🎉


三日月を盃にして星を呑む
(俳人28号)

季語は「三日月」で仲秋…陰暦葉月の三日月のこと。
参考までに令和元年は9月1日がその三日月でした…。
この句は御本人によって
「酒が切れ酒代もなく寒空を見上げて詠める」
(中村草田男+李白+宮沢賢治+石川啄木+植木等)
と「詞書(ことばがき)」があり…作者の教養の深さに
圧倒されるとともに「下手な解説」は不要に思えて…
ただこの季節に淡々と味わってみたいような淡麗の句。
形の相似と押韻を指摘できます…mikazuki - sakazuki
視覚だけではなく発音していて心地よいですね…一幅
の絵画を見るようにも…句作にはこれも大切なこと。
それにしても「星を呑む」洒落ていますね素晴らしい。

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【応募句について】

今回は特に「三段切れ」について考察します。
「切れ」の三態の詳細は…先日の当ブログを
御参照ください…切れ字・終止形・体言です。
強調・詠嘆を主に「言い切る」のが「切れ」
ですから…上の句・中の句・下の句のすべて
に切れを用いると…どこに一句全体の中心が
あるのかが散漫になるか ぶつかり合って混沌
としてしまうかが危惧されるということです。
但しすべてが肝心という句もあるでしょう…
「これはこれでよい」という有名俳人による
名解説も(皮肉ではなく)有り得ますからね…。

「やっていけないことは何もない(夏井いつき)」


教習車フロントの上死んだセミ

語り継ぐ球児の想い蔦の絵馬

予讃線燃料香ばし夏木立



そう思いながら見ていると…とてもよくも
思えてきました…偉そうなこと言って陳謝。m(__)m

NPおこがましく三段切れを回避して添削
させていただきました…意思に非ずかも
知れませんが作者の皆さまご容赦を…。
他の応募句は是非ともストックされて又
の機会にご活用されますように。(^o^)丿


フロントに死蟬載せて教習車
(セミは晩夏、しにせみも同じ)

蔦絵馬に球児の想ひ語り継ぐ
(蔦:つた 葛:かずら、ともに三秋)

夏木立抜けディーゼルの予讃線
(夏木立は三夏)


ではでは標題にありますように…
10月21日(月)の「秋土用入り」
の日に当ブログ…リニューアル
して戻って参ります…NPもっと
もっと勉強して…虚心に初心に
「文学と俳句」を語れるように
頑張る所存です…その暁には…
是非とも懲りずにお見捨てなく
また再びお越しくださいませ。(@^^)/~~~


瞳孔にフローチャートの玄鳥去る
(NP)