二年前に「昔の句集ですが… 」と一筆箋を添えて
勤務先宛てに俳句界等と共に送付して戴いた有り
難い一冊… 印象的なハムカツの句が当ブログ記事
にもあり…今 句集名に相応しい季を得ています。

勿論「菊」のように「花のモティーフ」に拘って
読むことも出来ますが今回は「海」のモティーフ
に拘って読み返しを試みました… 三好達治の詩に
あるように「海よ、僕らの使う文字では、お前の
中に母がいる」… 如月真菜さんの句に「母性」を
感じるからで直截(ちょくせつ)的で恣意的な読み
になりますが丁度10句 撰ばせていただきました。

奥付け右側の頁に著者略歴があり…昭和50(1975)
年生まれのかたで2004年に第二句集として(若手)
精鋭俳句叢書(そうしょ)シリーズで刊行の一巻。📕

巻末での解説文ではなく…「栞(しおり)」見開き
小さなリーフレットが挟んであります… これは
①の平石和美さんもそうだったのですが… 上品。

海に因(ちな)んだ句がそのまま「母なるもの」の
イメージに繋がるものではないかと… 優しい句達。


爽籟や大きく黒く船は沖
海遠くはなれ浦島草あまた
宇和海の豊年の雲大きかり
涼み船あらぬ方より月のぼり
春の潮砂の間をもどりゆく
蓬積む島の表に船着きて
舟遊び空ゆるゆると流れけり
つづれさせ庭まで寄せて海の砂
捨て置かる牡嵩や潮みちて
覚めてなほ車窓に秋の渚かな

(如月真菜1999年~2005年)


こう並ぶとハッとするのですが…
「海」というよりも「海岸」なの
ですね…  海の潮が寄せては返す…
何処に「もどりゆく」のでしょう
… それが句集全体の趣意妙味かも。

… 句集を戴いたのは茨木和生先生
以外では初めてのことでしたので
本当に何度も何度も読んだ句集…。


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【さう言へば旧友菊夫似合ふ秋】