1959年11月横浜市生まれで横浜市在住の
作者の第五句集で2017年5月の初刊です。

栞(しおり)を杉山久子さんが「新しい音楽」
という題名で書いていらっしゃって…句集
のタイトルに因んだものでしょうが音楽の
素材句を挙げられているのではありません…。


とても興味深く思えたので「音楽素材句」
数えてみました… おこがましくも比較です。

『音符』全350句中に33句
『蒼穹』全121句中に12句

比喩的に用いたものや脇役・端役も含めて。

確率的にはほぼ同じ頻度でした… 33句から
特に心に響いた新しい音楽の句を撰ぶと…
ある特徴に気付きました… さて何でしょう。


ハーモニカにあまたの窓や若葉風
漆黒の楽器ケースやさくら散る
ピアノ弾くごと指動く昼寝の子
シンバルの連打のやうな残暑かな
トランペットより薫風の生まれけり
ティンパニを叩けば風の光り出す
カスタネットまでたんぽぽの穂絮飛ぶ
天使像のラッパ上向き夏に入る
チェリストの深き一礼星月夜
葱提げてピアノ奏者の帰りけり

(金子敦 2012年~2016年)


そうです
音楽素材の中にほぼ3割の確率で
「楽器素材」が実景的に登場です。


印象的👀
大変バラエティー豊かと言えます
これだけの楽器を鏤(ちりば)めて
視聴覚と心に響かせてくれるのは。


NP句集は
ピアノ・クラリネット・チェロ…
まだまだですね…3割超バッターと
2割台半ば… そういう問題ではなく😅
もちろん内実に雲泥の差があります。


ところで
金子さんにフェルメールの句があります。

フェルメールの光を曳いてゆく螢
(2012年)


これはNP的には「絵画素材」の他に
「光素材」と「虫素材」を活かした
とても複合的な着想かと思われます。

【春来たりなば遠からじフェルメール】
(『蒼穹』春の部の二句目)


やはり実景・実体・実写を大切にして
楽器にも昆虫にも触れてゆきたいです。


【四季を越え電子ピアノの冬籠(ごも)り】

【山笑ふ迄にピアノの弾き語り】


これでも「知行合一」目指しています…😞💦
金子敦さんと楽器の話題が出来るくらい
になれたらいいな(あくまでも話題レベル)。

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