守備の下手な拙守ではなくて
下手なことを逆に大切にする。

「守拙」… 拙(つたな)さ・稚(おさな)さを自覚
自戒することは「初心」に繫がる大事ですね。

拙学・拙文・拙画・拙句

夏目漱石の熊本時代の句にこんなのあります
明治30年(1897年)英語教師として赴任中です。


《木瓜咲くや漱石拙を守るべく》🌾


ぼけの花・木瓜咲くは晩春の季語なので
すこしの気怠(けだる)さとバラ科の紅白
どちらのボケの小花かという妙味が交錯
… 漱石には白が合うようにも思えますね。

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花言葉は「平凡・早熟・先駆者」だそう
で通年或いは11月から咲くタイプもあり
寒木瓜なら春を待たない晩冬の季語とか。

目先の利に走らず不器用でも愚直に生きること
という解釈だそうですが… とてもいい言葉です
… 同時に「ぼけ(ばか)がえらい」という含みも…。



(フリー画像…紅白揃いは
なかなかないバラ科…🌹)


【ぼけとばか呟きの似て木瓜の花】


【どんぐりにばかがえらいと言ってみる】
(2021.9 「奎 19号」所載)


後句は宮沢賢治「どんぐりと山猫」の一節を
踏まえています… NP2021 年間代表句です…。

画廊「それぞれの宮沢賢治展」
NPコーナーこんな感じです…
明日17時迄開催中 お越しを
… 守拙の心でお待ちします。m(_ _)m

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🌾守拙(しゅせつ)・・・
[chilata.netより]
この句は、陶淵明の詩「帰園田居」に出てくる「守拙帰園田」(拙を守って園田に帰る)が下敷きにされています。陶淵明と異なるのは、漱石の故郷は田園ではなく、東京という都市だったということです。子規は『墨汁一滴』でこう書いています。

《漱石の内は牛込の喜久井町で田圃からは一丁か二丁しかへだたつてゐない処である。漱石は子供の時からそこに成長したのだ。余は漱石と二人田圃をして早稲田から関口の方へ往たが大方六月頃の事であつたらう、そこらの水田に植ゑられたばかりの苗がそよいで居るのは誠に善い心持であつた。この時余が驚いた事は、漱石は、我々が平生喰ふ所の米はこの苗の実である事を知らなかつたといふ事である。》
( 正岡子規『墨汁一滴』)