芥川龍之介は1927(S2)年7月24日の未明に、
睡眠薬の過剰摂取により他界しています…
妻(文)と子(男子3名)を遺して満35歳でした。
論友か論敵か谷崎潤一郎の誕生日でもあって、
とかく噂が立ちましたが谷崎は神戸から上京。
芥川はその日に向けて睡眠薬摂取量を増やし、
普段からフラフラしていたとの内田百閒説は、
「東京の夏が暑かったから」と… シンプルで。
昭和二年四月発表の「食物として」… 超短編
エッセイが青空文庫に遺っていて、全文転載。
*********************
食物として 芥川龍之介
金沢の方言によれば「うまさうな」と云ふの
は「肥つた」と云ふことである。例へば肥つた
人を見ると、あの人はうまさうな人だなどとも
云ふらしい。この方言は一寸食人種の使ふ言葉
じみてゐて愉快である。
*********************
気楽に「きのう何食べた?」と訊いてみる時、
芥川的には、「きのう誰と会った(話した)?」
となり、その「食物は人物」のメタファです
… 西洋酒で煮ても喰えなかった谷崎潤一郎?
未明から芥川の食にまつわる噺をあれこれと
読んでいる早朝に、はたと気付いたことです。
「きのう何食べた?」は「きのう何読んだ?」
「きのう誰に会った?」に置き換えられます、
『きのう何食べた?』コミックス本の含蓄も
また、かくの如きアレゴリーで考えると情趣。
下掲最新刊は丁度二か月前に発売されたもの
で、自称「何食べ伝道師」のかたからの賜物
… 作ったりはしませんが掲載レシピも楽しみ。
シロさんケンジくんというダブル主人公二人
の成熟円熟の心温まる物語としてもう21巻目。
… 初読からじっくり再読三読と観点をかえて、
ゆっくり季節の流れのなかで「食物として」
登場人物をみるのも「うまいのに違いない」。
【シロ葱をケンちん汁に合わせ食べ】
【河童忌に仕事準備の小確幸】
【きのう日本料理食べたよ夏期講習】
【夏空にLGBT溶け込んで】
睡眠薬の過剰摂取により他界しています…
妻(文)と子(男子3名)を遺して満35歳でした。
論友か論敵か谷崎潤一郎の誕生日でもあって、
とかく噂が立ちましたが谷崎は神戸から上京。
芥川はその日に向けて睡眠薬摂取量を増やし、
普段からフラフラしていたとの内田百閒説は、
「東京の夏が暑かったから」と… シンプルで。
昭和二年四月発表の「食物として」… 超短編
エッセイが青空文庫に遺っていて、全文転載。
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食物として 芥川龍之介
金沢の方言によれば「うまさうな」と云ふの
は「肥つた」と云ふことである。例へば肥つた
人を見ると、あの人はうまさうな人だなどとも
云ふらしい。この方言は一寸食人種の使ふ言葉
じみてゐて愉快である。
僕はこの方言を思ひ出すたびに、自然と僕の
友達を食物として、見るやうになつてゐる。
友達を食物として、見るやうになつてゐる。
里見弴(とん)君などは皮造りの刺身にしたら
ば、きつと、うまいのに違ひない。菊池君も、
あの鼻などを椎茸と一緒に煮てくへば、脂ぎつ
てゐて、うまいだらう。
谷崎潤一郎君は西洋酒で煮てくへば飛び切り
に、うまいことは確かである。
ば、きつと、うまいのに違ひない。菊池君も、
あの鼻などを椎茸と一緒に煮てくへば、脂ぎつ
てゐて、うまいだらう。
谷崎潤一郎君は西洋酒で煮てくへば飛び切り
に、うまいことは確かである。
北原白秋君のビフテキも、やはり、うまいの
に違ひない。宇野浩二君がロオスト・ビフに適
してゐることは、前にも何かの次手(ついで)に
書いておいた。佐佐木茂索君は串に通して、白
やきにするのに適してゐる。
に違ひない。宇野浩二君がロオスト・ビフに適
してゐることは、前にも何かの次手(ついで)に
書いておいた。佐佐木茂索君は串に通して、白
やきにするのに適してゐる。
室生犀星君はこれは――今僕の前に坐つてゐ
るから、甚だ相済まないけれども――干物にし
て食ふより仕方がない。然し、室生君は、さだ
めしこの室生君自身の干物を珍重して食べるこ
とだらう。
るから、甚だ相済まないけれども――干物にし
て食ふより仕方がない。然し、室生君は、さだ
めしこの室生君自身の干物を珍重して食べるこ
とだらう。
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気楽に「きのう何食べた?」と訊いてみる時、
芥川的には、「きのう誰と会った(話した)?」
となり、その「食物は人物」のメタファです
… 西洋酒で煮ても喰えなかった谷崎潤一郎?
未明から芥川の食にまつわる噺をあれこれと
読んでいる早朝に、はたと気付いたことです。
「きのう何食べた?」は「きのう何読んだ?」
「きのう誰に会った?」に置き換えられます、
『きのう何食べた?』コミックス本の含蓄も
また、かくの如きアレゴリーで考えると情趣。
下掲最新刊は丁度二か月前に発売されたもの
で、自称「何食べ伝道師」のかたからの賜物
… 作ったりはしませんが掲載レシピも楽しみ。
シロさんケンジくんというダブル主人公二人
の成熟円熟の心温まる物語としてもう21巻目。
… 初読からじっくり再読三読と観点をかえて、
ゆっくり季節の流れのなかで「食物として」
登場人物をみるのも「うまいのに違いない」。
【シロ葱をケンちん汁に合わせ食べ】
【河童忌に仕事準備の小確幸】
【きのう日本料理食べたよ夏期講習】
【夏空にLGBT溶け込んで】